千歳烏山駅西口、八王子側の改札を出て地下通路を右へ、表に出たら左前方の道を進み、角から4軒目のビルの奥にその店がある。ビルの入口表には目立つ、大きな提灯が掲げられている。
■中華そば 榮じ
引き戸を開けると意外に広い店内、正面から奥へのカウンター、突き当たりから左へと続いている。右側には、満席時の待ち用のテーブルがある。カウンターに設えられている長椅子に、一瞬、躊躇するかもしれないが、2人用の席と考えれば良い。ウッディな造り、抑え気味の照明が落ち着ける。
この店の歴史が、店の広さを物語っている。当初は、大皿おばんざいの居酒屋であり、昼の時間帯や、夜の〆にラーメンを出す店であった。その時の店の造りが基本となっているから、かつてはテーブル席として使っていたものが待合用になっているのだ。
仙川の「めでた屋」から学んだと言う中華そば、当初は「めでた屋」の出身元「たんたん亭」似の中華そばであった。その後、ラーメン専門店となったが、2003年頃には低迷期を迎えていた。名店「青葉」風の中華そばになったが、残念ながらすべてに浅いイメージがあった。その頃は厨房に立つ奥様も心配顔であったし、そのようなお話をいただいたこともある。そこから脱却したのは2004年、自家製麺になり、鰹節や煮干しなどの魚介系をスープにふんだんに使うようになってからだ。
中華そばのスープは、煮干、鰹節の香り溢れる和風、旨味は十分だが少し抑え気味のコク。貼り紙に書かれているように薄めの味付けとなっているので、濃い目を希望される方は卓上のタレを入れて自分で調整できる。内モンゴル産のかん水を使った多加水麺は中細でほとんどストレート、少し軟らか目に感じられる、しなやかなもの。具の肩ロースの叉焼が大きめで、これが実に旨い。
つけ麺は、やや太めのツルッとした食感のもの。ツケダレは強い節系の香り。甘辛酸で食べさせるのではなく、旨味とコクで食べさせるタイプ。
中華そばもつけ麺も、いずれも優しい味が特徴。ラーメンはちょっとと、躊躇される女性でも好まれる味に仕上がっている。私が訪れる時は約4割が女性客であると言う事実が、この店の味を表している。
時折、アルバイト的なスタッフが加わることもあるが、基本は、ご主人と奥さまの二人三脚の店、人当たりの良い、物静かな感じのお二人が醸し出す雰囲気が、店内イメージと、供されるラーメンとに、ベストマッチしている。
掲載日付:2008/08/13